キャンプをしているとよく耳にする「ブッシュクラフト」という言葉。それって一体何? ブッシュクラフトを生業としているやっしさんに、ブッシュクラフトの世界を教えてもらいました。
今回話を聞いたのは、九州を拠点に広く活動しているやっし(三浦靖司)さん。
ブッシュクラフトに精通しているアウトドアマンで、一般社団法人Kids Go Wild 代表理事、Japan Bushcraft School西日本エリアマネージャー/スーパーバイザー、マザーズコーチ・ジャパン認定コーチ、防災士などたくさんの顔を持っています。
定期的にブッシュクラフト講座やサバイバル子どもキャンプを開催し、多くの人にキャンプやブッシュクラフトの楽しさを伝える活動をされています。そんなやっしさんに、ブッシュクラフトとは何か、またその楽しみ方、考え方を教えてもらいました。
「ブッシュクラフト」って何ですか?
(やっし)ブッシュクラフトは、サバイバルと同じような知識や技能を活かして「自ら森へ入り、楽しむこと」。たまにサバイバルキャンプと混同されますが、「サバイバル」というのは森の中へ入り「生き残って生還する」こと。大きく意味は異なり、楽しむことが前提となります。
ブッシュクラフトは、キャンプと少し性質が異なり最低限の道具しか使いません。道具が無い分、ブッシュ(森での)+クラフト(技能)でカバーする。そこがブッシュクラフトの醍醐味であり、楽しさでもあります。
やっしさんのアウトドアマンとしてのルーツは?
(やっし)僕は六甲山系の摩耶山のケーブルカーの乗り場の目の前という、自然豊かな所で育ちました。
叔父がアウトドア好きな人だったので、小さい頃は外遊びに連れて行ってもらったりして、影響を受けたんです。一人でもいろんな所に冒険しに出かけたり焚火をしていたのですが、その中でたくさん大変な目にも遭い、ボヤ騒ぎを起こしたこともあります。
あの時のことを考えるとゾッとするんですけど、小学校4年生の自分には知識がなかったんですよね。知識さえあれば違っていたかもしれない。なので僕はあの時(ボヤ騒ぎを起こしてしまった)の自分に教えたい、という気持ちで今のお子さんたちにお伝えしています。
さらにより広く伝えるには、お父さんお母さんにも教えた方がいいかもしれないとも思っています。パパとママをヒーローに。子どもたちが大人の凄さ、かっこよさを見る機会がもっと増えるといいなと思っています。
ブッシュクラフトにはどんな良さがありますか?
(やっし)ブッシュクラフトを学ぶと満足度が増え、世界観も広がると思います。
薪一つでも集め方や乾き具合の見方など、ポイントがあるんです。1つの道具で複数の使い方ができたり、自然に影響を与えないコッヘルの洗い方があったり。風が強い日の翌日に森に入ると、たくさん木が落ちている。それって宝物にしか見えないんですよ。
野草の使い方や食べ方を知った後に野草を見ると、今まで雑草だったのにキラキラ輝いているように見える。不思議ですね。
また日本は災害が多いですよね。その災害時に生き残る術としてブッシュクラフトの基本的なことを知っていたら、役立ったりパニックにならなくて済むかもしれません。そういうところも魅力かなと思います。
基本的なこと、大切なことは?
(やっし)一般的に、ゴミを捨てたり、使ったままにしたりというのは良くないですよね。「ものを大切に」「マナーを守ろう」「自然を守ろう」。ブッシュクラフトに限らず基本的なことですが、僕はその大切さを伝えています。
たまに「ブッシュクラフトはマッチやライター使ったらいけないんですか?」というような質問をいただいたりもしますが、「ブッシュクラフトってこんなスタイルじゃなければいけない」というものはありません。
道具に頼りすぎず、ありのままを楽しむというスタイルではありますが、自分が納得する、自由なスタイルで楽しんでいただければと思います。
(やっし)また知らないということは怖いことなので、「知ることの大切さ」も伝えていけたらと思っています。
おおらかなスタンスで、自分のブッシュクラフトスタイルを追求して欲しいと思います。
ブッシュクラフトは自由なものである
過去の失敗談を交え、ブッシュクラフトの魅力を教えてくれたやっしさん。
ブッシュクラフトには「道具をあまり使ってはいけない」というイメージがあったりもしたけど、「○○してはいけない」という制約はなく、楽しむためにあるものだと教えてくれました。
今回は、考え方を中心に聞いているので、具体的なやり方などはまたいつか、聞かせていただけたらと思っています。
Interviewer:nana(編集部)