2021年7月に日本で5ヶ所目に「人類共通の宝として次世代に残していくべき遺産」として、世界自然遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」。今回は「奄美大島」エリアを紹介します。
美しい太古の森と文化がいまに伝わる
透き通ったビーチに色鮮やかな花々。河口に広がるマングローブ、亜熱帯の植物の森。ヒカゲヘゴやクワズイモが至るところに生え、ひときわエキゾチックなイメージを放つ奄美大島。
この島にはひと言では語れないほど多種多様な自然が残されており、2021年、徳之島とともに世界自然遺産に登録されました。
奄美大島の自然を体感したいなら、マングローブの森をカヌーでめぐる体験がおすすめ。マングローブとは、海水と淡水が入り混じる河口、潮の満ち干の影響を受ける場所に見られる木々の総称です。
カヌーに揺られながらユニークな生態系を感じられます
亜熱帯広葉樹が広がる金作原(きんさくばる)トレッキングも人気です。入口に立つと、目の前には緑いっぱいのジャングル! 天然の木々に囲まれた森の中では、今にも野生動物の息づかいが聞こえてきそうです。
ジュラシックパークの世界が味わえる金作原(きんさくばる)。葉を広く伸ばし生き生きと育つ緑が魅力的
かつて、奄美群島はユーラシア大陸と陸続きでした。約200万年前までに切り離され、外敵がいないことなどにより生き延びた動植物などが生息・生育されたといわれています。森の中には、国の特別天然記念物である“アマミノクロウサギ”や猛毒を持つ“ハブ”などが息をひそめています。
現在生息しているウサギ科のなかで最も原始的な体型をしており、「生きた化石」ともよばれています。(写真:平城達哉)
そんな特異な自然はもちろんですが、島の食材や海の幸をたっぷり使ったごはん、繊細で美しい紬織物“大島紬”など、独特の文化が色濃く残っているのも魅力のひとつです。
中でも、ご飯の上に鶏肉や錦糸卵、シイタケなどの具材をのせ、鳥がらスープをかける“鳥飯(けいはん)”が有名。
お店によって具材が少しずつ異なるのもおもしろい
郷土料理“油ぞうめん”は、豚肉や野菜など具沢山! イリコとごま油の風味が食欲をそそります。
海鮮のトッピングは島ならでは
また、ガジュマルのトンネルや潮が引いた時に現れる、天然の潮だまり「ハートロック」がみられるスポットもあります。ガジュマルは、太い幹には幸せが詰まっている幸運の木といわれ森に住む妖精が住んでいると伝えられています。
有良(あった)地区にあるガジュマルのトンネル
宝石のように輝くハート。潮の時間を確認してでかけよう
“ギョサン”をゲットして島人目線で奄美トレイル
ギョサンとは、安価な一体成形の樹脂製ビーチサンダルに対する呼称です。名前の由来は「漁業(従事者の履く)サンダル」や「漁業(で売っている)サンダル」の略だそう。ビーチで大活躍しそうですね。
カラフルでさまざまなサイズが揃っている。写真はアウトドアショップ『グナクリブ』のもの
AMAMI TRAIL PIC UP
奄美地区のトレイルコースを歩きにいきましょう。
住用(すみよう)地区には、森から流れ込む水量豊かな川やその先に広がるマングローブ、住用湾などがあり、多様なトレイルコースがあります。川内フンギョの滝を含むコースや山間部を歩くコースは特にハブに注意が必要。住用川に広がるマングローブを眺めながら、ゆったりとした癒しの散策が楽しめます。
マングローブの森
川内(かわうち)フンギョの滝・内海コース
滝をメインに歩くコース。フンギョとは「舟行」の意味で、船の材料である木材をここで切り出していたと言われています。
マイナスイオンたっぷり!
世界最大級と言われているマメ科の植物「モダマ」の生育地。マメは枝豆のような形で、大きいものは1.5mにもなります。
世界最大級の豆・モダマ
マングローブ・山間(やんま)コース
西表島に次ぐ、国内2番目に大きいマングローブ林が広がっています。カヌーのツアーもあり、ぜひ散策と併せて体験してみてください。
マングローブの中をカヌーで進む癒しのひととき
「黒潮の森マングローブパーク」に隣接している『道の駅 奄美大島住用(あまみおおしますみよう)』は、マングローブ林のすぐ近くにあるので立寄ってくださいね。美味しい地元食材を使ったアイスで一息つきましょう。
「道の駅 奄美大島住用」で販売されている奄美の特産品で作られたアイス
多種多様な自然が残されている奄美大島。奄美トレイルを歩きながら、その自然美と歴史を感じてみてはいかがでしょうか?