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2021.07.19

近自然工法による登山道修復体験レポート

みなさん、こんにちは。

編集部サカタツです。
突然ですが、近自然工法(きんしぜんこうほう)による登山道修復って知ってますか?
山に登る時に通る道を登山道と言います。この登山道がなければ、山を快適に歩く事や山頂で雄大な自然を体感する事などが出来ません。その登山道も雨や風などで崩れたりします。その登山道を修復する工法の一つが近自然工法です。
読んで字のごとく、その山にある砂利や石などを使い自然に近い形で登山道を修復する工法なんですが、聞いても、どの様に修復しているのか分からないですよね…
なので今回、『阿蘇高岳』で”環境省 阿蘇くじゅう国立公園管理事務所”さんが行っている、近自然工法による登山道修復作業に、環境省レンジャー、アクティビティガイド、パークボランティアの方々と私、サカタツが参加してきました。

 

まずは、作業する山頂付近まで登ります

当たり前ですが、まずは、修復する山頂付近まで登っていきます。
この時は、通常使う登山口からではなく、特別な許可を得て、マウントカーロードという道を通った先にある登山口を使い、トレッキングスタート。ただ、このマウントカーロードは、四駆で、しかも車高が高くないとなかなか進めない悪路を進みます。
※マウントカーロードは通常は通行禁止の為一般の方は使えません

まずは、マウントカーロードをクルマで登ります

 

マウントカーロードを登り切ったら、修復作業を行う場所までトレッキングスタート

 

作業の拠点になる『月見小屋』へ

今回、修復作業をするのは、阿蘇高岳東峰に位置する”天狗の舞台”付近のため、近くの避難小屋の月見小屋を拠点にします。月見小屋までの山中は、みんなで山の事や趣味の事などワイワイ楽しく話をしながら登ります。約1時間30分ほど登ると月見小屋に到着します。ここで昼食などの荷物を降ろして、修復作業現場へ向かいます。

この日は天気も良くて歩くのもとても気持ちよかった

 

昼食などの荷物を月見小屋に降ろしたら作業の準備をして現場へ向かいます

 

月見小屋から修復作業現場の天狗の舞台へ向かいます

 

いよいよ近自然工法の登山道修復作業開始

現場へ向かいながら、実際に近自然工法による登山道修復を行った箇所を”環境省レンジャーの山下さん”が説明をしてくれました。

近自然工法による登山道修復とは…
『雨や風などで登山道が崩れたり、削れたり、足場が悪くなっているところに、機械的に木階段を並べてもすぐに壊れてしまったり、かえって浸食が広がったりしてしまいます。近自然工法では、実際に修復作業現場の近くにある、石や砂利を集めて登山道を修復します。石や砂利だけで補修出来ない所は土嚢なども使いますが、使う土嚢も使用後自然に返る素材の物(ヤシ繊維や麻)を使います。植生の再生など自然が持つ機能が発揮されるように修復することで、崩れにくく頑丈な登山道を作ることができます。この様に自然に近い形で修復する工法を近自然工法といい、阿蘇で、この工法による登山道修復に取り組み始めています。』

修復が終わっている現場を見ながら説明してくれる、環境省レンジャー山下さん

 

なるほど~。現場を見ながら話を聞くとなんとなく私も分かってきました。

修復する現場を確認したあと、石や砂利を土嚢で集めるチームと大きな石を集めるチーム、集めた土嚢を修復現場に設置するチームに別れて作業開始です。

 

土嚢に砂利を詰める風景。この絶景の中での作業はとても気持ちよかった

 

土嚢を少し離れた修復作業現場へ運びます。中々重かったです…

 

昼食後は別の作業現場へ

午前中は、先ほどの砂利を土嚢へ詰めて運ぶ作業を行い、午後からは別の場所で”大きな石や砂利を使って修復する現場へ行きました。午前中と同じで、どこをどの様に修復するのかを確認した後に作業を開始します。

修復する方法を話し合う環境省レンジャー”山下さん”とアクティビティガイドスタッフ

えっ…石ってそんなに大きなのを運ぶんですか?

 

完全に舐めてました… 大きな石でないと、足場が安定しないので出来るだけ大きな重い石を集めるのだそうです。石が置いてある所から次々に修復現場に運んでいきます。

 

この大きな石を雨で削れた箇所に置いていき、登山道を修復していきます。

 

 

写真では分かりづらいかも知れませんが、この真ん中の石を3つ置いてある所が雨などで登山道が削れていた箇所です。ここに石を置くことによってこれ以上削られなくなり、更には石の前に土が溜まっていき自然に登山道が修復されていくそうです。
次に気を付ける点が、登山者にはこの石の上を踏んで行って貰わないと別のところに踏み跡が出来てしまい、またそこから登山道が削られていくので、この石をより安定させることが必要になります。

 

この様にいくつもの大きな石や砂利を詰めて、足場を安定させてここの修復作業は完了です。

ここの作業が終わったら、一度、みんなで月見小屋に戻り、それから下山しました。
普段何気なく通っている登山道がこんな形で修復されていたとは知りませんでした。実際に体験してみるとその大変さが分かりました。
今度からは登山道を修復してくれる方々に感謝しながら山を楽しまないといけませんね。

 

近自然工法による登山道修復体験イベントが開催されます

近自然工法による登山道修復の内容は少しは伝わったでしょうか?
やっぱり写真とテキストだけではイマイチ分からないなー、という方に朗報です。
2021年8月9日に環境省レンジャーと行く! 近自然工法による登山道修復体験イベントが開催されます。もう少し詳しく知りたいなー。という方や、興味があるので参加してみたい。という方はぜひ参加してみて下さいね。環境省オリジナルマグカップや登山バッチが貰えますよ! 当日は私、サカタツも一緒に行きますのでお会いできるのを楽しみにしております。

環境省レンジャーと行く! 近自然工法による登山道修復体験イベント

■日程 2021年8月9日(月)
コース:阿蘇山上広場…砂千里ルート…中岳…高岳…天狗の舞台…月見小屋(昼食休憩)…高岳…中岳…阿蘇山上広場
集合:阿蘇山上広場 7:00(阿蘇山上広場 15:00帰着予定)
歩行時間:約6時間
参加費:500円
当日現地でお支払いください。
〈キャンセル料〉8月6日まで…無料、8月7日・8月8日…50%、8月9日…100%
持ち物 水分2リットル以上、弁当、登山靴、軍手(持っている方は作業用手袋)、帽子(キャップ)
※ヘルメットを着用しますので、帽子はキャップが適しています。

お申込詳細はこちら https://renzan.net/mag/archives/967