涌蓋山(わいたさん)は、くじゅうの最西端に位置するくじゅう連山の一座。熊本側からは小国富士、大分側からは玖珠富士と言われ、円錐形の山容が美しい。今回は、熊本在住のあいりさんと一緒に、熊本県小国町側からの登山と麓のお店巡りを楽しむ旅に出かけた。
登山前に買い出し! 「薬味野菜の里小国」へ
小国町はこだわりのお店や温泉、地獄蒸しが楽しめる観光名所がたくさんある。出発からワクワクが止まらない。
小国町にある「わいた温泉郷」には、6つの湯処がある。
また温泉だけでなく、利用者は地熱を利用した地獄蒸しを利用できる場所があるのも魅力的だ。
この日は、温泉と地獄蒸しをセットで楽しもうと食材を買い出しに小国産の野菜が購入できる「薬味野菜の里小国」へ立ち寄った。
薬味野菜の里小国。さあどんなものがあるのだろうと一番乗りで入店!
店内にずらりと並んだ野菜などは日によって違う。自然薯や手作りお菓子も人気で、値段も安価なのでついたくさん買ってしまいそう。
どれを買おうか悩むのもまた楽しい時間だ。
地元のこだわり品がたくさん。地獄蒸しに入れる食材を選んだ
山頂でランチ&カフェを楽しむ準備
山の上で頂くランチの食材を探しに、まずはドイツパンのお店「Danke(ダンケ)」へ立ち寄る。駐車場に車を止め車外に出るといい匂いが漂ってきた。
朝ごはんはしっかり食べてきたけど、もうお腹が空いたかも‥早速店内へGO!
焼き上がったパンがずらりと並んでどれにしようか迷います
Dankeのオーナーは小国出身で、隣のハム・ソーセージ屋さん「デュッセル」のオーナーの後輩だそうで仲良しだ。
ドイツの老舗パン屋に弟子入りし、修行ののち2016年に自分の店をオープンした。店内に並ぶパンはひとつひとつ丁寧に焼き上げられていてどれもおいしそうで、いい匂いに包まれた。今回は、パンとハムを挟むのにおすすめの白パンとその他2種類をゲット。
小さな木造の建物。とても雰囲気がいい
次は、お隣のデュッセルへ。
扉を開けると、ショーケースに並ぶハム、ソーセージたちはどれも美味しそう。焼いたり、調理せずにそのまま食べられるものはショーケースの一、二段目だそうでこの中から選ぼうと見るけどどれも美味しそうで決められない。
オーナーにおすすめを聞いてロースハムと、生ベーコンに決定!
どれも美味しそうで迷います
おすすめを聞いて今回は3品をゲット
オーナーは、ドイツで10年修行しこだわりの手作りハム、ソーセージを作る。ショーケースの横に熟成中らしい大きなベーコンが吊り下げてあったのも気になった。土日にはホットドックなどの軽食を販売しているらしく、次回はそれも食べてみたい。
ドイツの国旗と共に店構えも可愛らしい建物で入ってみたくなる
登山前の準備完了!いよいよ登山へ
買い出しは完了しいよいよ登山開始。林道と牧野を通らせてもらい、登山口へ。
緑の芽吹きはこれからの季節。登山者が比較的少ないからゆっくりと登れるのも魅力的かも。
大きな登山道入口の案内をみて出発
林道に出てしばらく歩くと、登山口に到着した。
ここからいよいよ山道となる。登山靴の紐の緩みがないかもう一回チェックしよう。
ササ原を登っていき、だんだんと急な登りとなっていく。
黄色の案内が目印。整備され、登山道はわかりやすい。
少し登ると時々景色が開け、先ほどいたわいた温泉郷の蒸気がもくもく。その先に広がる景色も美しい。
急な登りになっていくから急がずゆっくり登るのがいいだろう。暖かい日は汗ばむこと間違いないだろうから水分補給も忘れずに。
振り返るとわいた温泉郷の蒸気や景色を眺め一休み
急な道を頑張って登ると樹林帯を抜け、山頂が姿を現した。見えているがなかなかつかない。そういえば、富士山もそうだなあと思いながら歩みを進める。
あたりは、景色が開け展望はとても良いので眺めながら登ろう。あと一息!
あともうひと頑張り。なかなかの勾配だ。
山頂に到着 景色とランチのご褒美
山頂に到着!
山頂に立つと南側にくじゅう連山の山並みがダイナミックに現れて疲れも吹っ飛ぶほどだ。まさにくじゅう連山の展望台である。
気候も良く土日となればたくさんの人で賑わう穴場の山なのだ。
山頂に到着したら絶景がお待ちかね。いきなり広がる景色にびっくりするだろう
さあ、今日の楽しみのオープンサンドを作ろう。
パンを切って、ハムとレタスを挟んであっという間に出来上がり。
「いただきまーす。」とても美味しいのにびっくり♬
パンにハムや生ベーコンを挟んで。簡単にできて!美味しいこと間違いなし
ドリップコーヒーも一緒にいただく。暖かい春は、何時間でもいたい感覚になることでしょう。お昼寝も気持ちがいい時期だなあ。
景色とカフェを楽しむ贅沢な時間
下山後は、温泉と地獄蒸し
下山は急斜面なので濡れている時は特にスリップに注意して下りよう。
下山後、わいた温泉郷の一つ岳の湯エリアの「豊礼の湯」へ。買ってきた食材をセットして蒸し器のバルブを回すと”もくもく”と蒸気に包まれてびっくり。
中には時間が要する食材(芋、肉など)がある。蒸し器にセットして、出来上がりを楽しみにしながら、ゆっくり温泉に浸かるのもおススメ。
※蒸し器は、豊礼の湯で宿泊や温泉利用で使うことができる。
地獄蒸し。はじめての体験にドキドキ
温泉の色は、なんと鮮やかなコバルトブルー。その美しさにびっくり。
湯船に浸かりながら、さっき登った山を見ながらまた楽しんだ。
コバルトブルーの温泉は美しく、眺めも最高!
温泉から上がって早速蒸し上がった食材を頂いた。
素材の旨みが引き立つのだろう。甘い!卵、椎茸、さつまいも、里芋などなど。
どれも美味しいのだけど、特にさつまいもはホクホクだった。
デュッセルで買ったソーセージも美味!これはヤミつきになりそう。
出来上がった地獄蒸しは、ふっくらとしてとてもおいしかった
〆は温泉の地熱を利用して淹れる「地熱珈琲」
お腹いっぱいになって〆のコーヒーを。
わいたの地熱を利用して、生豆を選別して蒸気で洗い、地熱蒸気焙煎をしてから焙煎を行うという行程で世界唯一のコーヒーといっても過言ではないだろう。
さあどんな味に仕上がるのか楽しみだ。
自分のために淹れてくれたコーヒーを受け取る至福の瞬間
オーナーの山本さんがお湯を注ぐと、豆がおしゃべりしているようにぷくぷくと大きく膨らむ。
淹れるのをじっとみながら良い香りを堪能しながら飲むまでに素敵な時間が流れていく。
あいりさんは普段はコーヒーの苦味が苦手で砂糖を入れて飲んでいるとのこと。
しかし、このコーヒーをブラックで飲んでびっくり。滑らかな口当たりの一杯にコーヒーの美味しさを知ってしまった。
山本さんもその言葉に淹れた甲斐があったと満面の笑み。
ふっくらと膨らむコーヒーが美しく、香りが心地よい
山と温泉、美味しいものをフルに満喫できた1日だった。
お風呂も入ってお腹もいっぱいで今日はもう帰ったら寝るだけ?!いやいや道具を片付けましょうね。
周辺にはパン屋「そらいろのたね」もあるのでお土産にいかが?
たくさんのパンの他に小国ジャージー牛乳で焼き上げた濃厚プリンもオススメ
小国には楽しめるお店や魅力的な温泉が点在し、一度訪れるとファンになるはず。涌蓋山とセットで、麓の町巡りを楽しんでみてはどうだろう。
(文・河野綾子/写真・辻本光星)